俺の彼女は人では無い

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 よし、と決意を密かに固めた俺は、とんでもない扇子(どんき)で自身の肩をポンポンと叩いている夏目さんに一度視線を合わせ、言葉を発すると同時に手を着き頭を下げた。俗に言う土下座という奴ですね。 「保険の先生エロい目で見ててすいませんでしたッ!」 「違うじゃろッ! っていうか、貴様儂がおらんところで何と言う下劣な……ッ!!」  一瞬の応酬とでも言おうか。間髪入れずに言葉を返してきた夏目さんは、漫画かよとツッコミたくなるような綺麗なズッコケをお披露目し、純真無垢な白い布(パンツ)を曝け出した。  これはこれは……今まで我慢した俺へのご褒美という事で良いのですか? こんな玄関先でおっぱじめていいという合図ですか? 違いますか?  依然頭を下げたまま、少しだけ見える極楽浄土(パンツ)に視線を奪われる俺。しかし、その視線に勘付いた夏目さんは瞬時に股を閉じると咳払いを一つ。何も履いていないぷりんぷりんな太ももとお尻を払い、再度仁王立ちに興じた。  ……因みにだが、今の彼女の恰好はYシャツ一枚。でかいから多分俺のだろう。これが噂に聞く裸Yシャツというモノですね。お胸のせいで太って見えるが、この位置からだと引き締まったお腹がチラリと――違い違う。 「コホンッ。す、少し取り乱したが……貴様という奴は。儂だけでは飽き足らんという事なのか? そうなのか?」 「いやはや面目ない……」 「はぁ……まあよい。今に始まった事では無いしの。それで言うと、今の今迄似たような理由で怒っておったのが馬鹿らしくなってきたのじゃ」  呆れ顔で何度も溜息を吐き出す夏目さん。彼女は「もうよい、もうよいのじゃ」と呟きながら、扇子(どんき)で肩を叩きつつリビングの方へ消えて行った。  結局何で怒られていたのかは分らないが、似たような理由と言っていたので俺の言ったやつも強ち間違いではなかったのだろう。反省反省。
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