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ふら付きながら立ち上がった俺は、既に痺れを通り越して感覚がなくなってしまった足を無理やり引き摺り、彼女を追うようにして台所へと向かった。
***
もう一度言うが、鬼柳夏目さんは俺の彼女だ。年齢は二一歳。簡潔に容姿を説明すると、滅茶苦茶美人なお姉さんである。
雪のように白い髪の毛を腰辺りまで伸ばしており、家に居る時は大体ポニーテールにしている事が多い。何でも体毛全てが白いらしく、眉も睫毛も白い。腕毛とかは剃っているとかじゃなく生えてこないとか。
それだけでも少し常人離れして見えるが、容姿に関しても常人というか……人間離れしていると言ってもいいだろう。
零れそうな程大きく、けれども絶妙なバランスを保った若干吊り上がった瞳に筋の通った綺麗な鼻。口紅を塗っているのでは? と思ってしまう程血色の良いぽってりした唇。顔も小さく、全てのバランスが凄まじく整っている。更にはとんでもなくスタイルの良い体型。所謂ボンキュッボンという奴だ。これで腹筋に薄っすら筋が通っているのだから怖い……。
まあ、でもこれだけだと只の凄くスタイルの良い女優さんみたいなものだが、彼女にはそれらを取り残して更に目を引くとんでもない特徴が存在している。それが――一本の角と真っ赤な肌。
角は髪の生え際より少し下に一つ、一〇センチくらいのものが生えている。肌に関してはその通りだ。全身真っ赤っか。しかし、目が痛くなるような赤ではなく、少し黒っぽい赤だ。
言ってしまえば彼女は人ではない。〝鬼〟と呼ばれる妖怪の一種である。
しかし、だからといって俺が彼女に初めて会った時からこんな見た目をしていたわけでは無い。
最初は普通の、それこそそこら辺を歩いている一般人と大差ない見た目だった。容姿に関しても、肌に関しても。何でも彼女ら鬼、というか妖怪(いっぱいいるらしい)は人に化ける事が出来るみたいで、普段は人間に紛れて普通に生活しているのだとか。
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