6/7
前へ
/14ページ
次へ
 ブラックホール。巨大な恒星が超新星爆発を起こすことにより発生する天体であり、光すらも抜け出せない超重力を発生させ、ありとあらゆるものを吸い込む恐るべき存在である。  この時夫婦は、いや、神人類の誰もがこう思っていた。  全てを無にするブラックホールなら、例え不死者でも完全に消滅し、死に至るのではないか。この生の苦しみから開放されるのではないかと。  実際、ブラックホールに吸い込まれた者は二度と戻って来ていない。神人類にとって、ブラックホールこそ唯一あの世へ逝ける片道トンネルだと考えられていた。 (うおおおっ! これでようやく死ねる!) (早く私をこの世から跡形もなく消し去って頂戴!)  子供に場所を教えて貰い、夫婦は嬉しそうに飛んでいった。
/14ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加