7/7
前へ
/14ページ
次へ
 もはや神人類達にとって、ブラックホール(死に場所)を探すことが唯一の生き甲斐であり、希望だった。  別の銀河でもまた、まさに今ブラックホールに飛び込まんとする大勢の神人類達がいた。 (生きとし生ける者にとって、死はなくてはならないもの。死があるからこそ、生が尊くかけがえのないものとなる。さあ! 共に生を捨て、安らかな死を手に入れようではないか!)  号令と同時に一斉にブラックホールに突入して行く神人類達。まるで集団で水の中に行進し溺れ死んで行くレミングのように次々と死に向かって飛び込んでいく。  吸い込まれた者は引き伸ばされるように糸状に細くなり、瞬く間に細切れになっていく。その速さに不死の細胞も再生が追いつかず、あっけなく消滅していく。 (意識が、薄れていく……これが、死……) (気持ちいい……まるで、宇宙と一体になっていく、よう、だ……)  こうして神人類達は、自ら生を捨て、宇宙に消えていくのだった。
/14ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加