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 それから更に時は流れた。と言っても時間に限りの無い神人類にとっては時間の概念など皆無である。  銀河の外れでとある神人類の夫婦が会話をしていた。ただ宇宙空間には空気が無いので、新たに習得したテレパシーを使っての意思の疎通である。 (なあ。俺達出会ってどんくらい経ったよ) (さあね。少なくとも地球がまだあった頃には知りあってたわね) (結構続いてるよな。俺達) (なーに言ってんの。私以外に何万人も女がいる癖に) (いやいや、男をとっかえひっかえ何万人も子供を産んだお前には負けるよ)  旧人類の時代でも不倫や離婚など珍しくはない。当然、不死者になり永遠の時を生きる神人類にとって、たった一人の異性だけを愛し続けるなどできるはずがなかった。 (あーあ。昔のお前は美人だったのに。今じゃ目がホクロ並みに増えて首も蛇みたいに伸びて身体中触手だらけで化けもんだよ) (アンタだって全身岩みたいにガッチガチでどこが顔だか尻だか分かりゃしないじゃない)  進化し過ぎた神人類は、もはや人類と呼ぶには抵抗のある異形な成りをしていた。それらがうじゃうじゃと宇宙遊泳しているのであるから実におぞましい光景である。
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