第2話 必須修行

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的は身長170cmの人を模したものだが、関節部などにサーボモーターが仕込まれていて実際の人とほとんどかわらない動きをさせたり、この人型の足元の土台が前後左右に動いたりと正に生きている人を狙う事を目的とした的になっている。 狙いは臀部、あるいは太もも付近が最良とされていて頭部を狙う事は禁止となっている。 これはもし頭部に棒が命中した場合、失明や脳の損傷、それが原因の半身不随あげくに死亡などの事象が考えられるためで「殺しは行わない」伊賀忍者の守らなければならないルールの1つとなっているのだ。 また上半身は相手が防弾装備していたり、冬場など服装自体が棒の針が貫通しにくいケースが考えられるためねらいは下半身となるのだ。 それが無理な時はひそかに目標の背後に近づき、首元に棒を刺す事になる。 この通称「棒」による射的訓練は修行中だけでなく、忍者として配属された後も自発的に行われており自身を守り、護衛の任についたら保護対象に迫る脅威に対しても抑止力として機能するように全員が常に鍛錬していた。警察官が射撃訓練を大変熱心に行っているようなものである。 さて弓の方は先の棒と同じ用途で使われる矢じりに注射針がついているのを射る場合と発煙筒をセットして煙幕として使う2通りの使用方法がある。 手で投げる棒の射程がせいぜい5~7m程度なのに対して弓で注射針を使う時は30m近くの射程がある。     
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