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子供は成長していく中で、そうやって家族から「手作りの愛情」を受け取って育つ。
だが亜利紗に与えられたものは、高級ブランドの鞄や服、老舗割烹の弁当、三ツ星シェフの作るデザート、全てが“既成品”なのだ。
もしかすると花衣が今日贈った品は、亜利紗が人生で初めて受け取った“誰かの思いが詰まった手作り品”なのかもしれなかった。
(そう言えば一砥さんも、手作りのキーケースをあげたら、凄く喜んでくれてたな……)
亜利紗と一砥、どちらも実家が裕福で、親と関わりが少なく育ったという共通点がある。
その二人が、どちらも自分を心から好いてくれていることが、花衣にはとても有り難く嬉しく、そして必然のようにも思えてきた。
亜利紗はプレゼントを丁寧に袋に戻すと、申し訳なさそうに「あの、私も一応、用意したんだ……」と言って、有名すぎるブランドの水色の箱を差し出した。
「わ、ありがとう。開けていい……?」
花衣が笑顔で訊ねると、神妙な顔で小さく頷いた。
箱を開くと、見覚えのある箱の中から見覚えのある水色の巾着が現れた。
そしてその中には、美しい青紫色の石がついたペンダントが入っていた。
「わぁ……」
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