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その青い石は光を受けて幾層もの色を纏い、夕焼けから宵闇に染まっていく春の空のような深い青をしており、その幻想的な色合いに花衣はうっとりとみとれた。
「綺麗……。これ、もしかしてタンザナイト?」
「うん、そう。十二月の誕生石でしょ。実は私も、同じものを去年貰ったの。それで、花衣にもプレゼントしたいなと思って」
「ありがとう。凄く綺麗……」
花衣は笑顔のまま、さっそく贈られたそれをつけてみた。
今日着てきたラベンダー色のドレスに、その青紫の石は誂えたようにぴったりだった。
「うんうん、凄く素敵」
「本当に、よく似合ってる」
亜利紗と紫苑、二人に褒められて、花衣は照れ隠しのように「エヘヘ」とおどけて笑った。
「じゃあ、私からはこれ」
そう言って紫苑が置いた二つのプレゼントは、どちらも見た目そっくりの淡いピンク色の箱だった。
「あーっ、ここのアクセ好きーっ」
箱を見るなり亜利紗は歓声を上げ、「どっちがどっち!?」と紫苑に訊ねた。
紫苑はいつもの鷹揚とした微笑を浮かべ、「白いリボンが花衣。赤が亜利紗」と言った。
それぞれが贈られた箱を手に取り、花衣もドキドキしながら中を確認した。
そこから現れたのは、色とりどりの石が嵌め込まれたパヴェリングだった。
鮮やかに輝く石が楽園の花畑を思わせる光を放ち、その美しさに花衣は呆然とした。
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