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そして…
会社の当初の目論見が崩れたことで、社内のパワーバランスが徐々に変わっていった。
会社推しの新製品を扱う花形部署は、メインになりきれなかったことで人員整理が行われて規模縮小、自分らの部署はメインを維持したことで規模増強となった。
捨て駒と思っていた奴らがメインを奪い取った、会社の上層部はそう捉えたものもいて、自分らの部署はメイン製品を扱っているのも関わらずなかなかの圧力を受けた。
かなりの無茶な計画を提示される、何かにつれ報告が遅いとせき立てられる等。
その度に部長として抵抗してきたが、ある時ちょっとした隙を突かれて、重大な責任問題にされてしまい、閑職への異動がなし崩し的に決定してしまった。
一応抵抗はしてみたものの、所詮はサラリーマンである、異動には従うしかない。
後釜には、元花形部署の部長がついたと聞いた。責任を取ってどこかに飛ばされたと聞いていたのだが、長い時間をかけてうまいこと舞い戻ったようである。
「まあ、あいつも社畜だしな」
なお、引き継ぎはいらないとのことだったので、本当に引き継ぎ書等用意せず異動したのだが、着任したあとかなり苦労していたと風の噂で聞いた。見栄を張るからだ。
閑職とは資料整理をする部署で、会社日報や会社の歴史、契約書の整理保存が主業務である。我が社にもこういう部署があるのかと驚いた。
淡々とスケジュール通りに割り当てられた仕事をこなす、これで給料もらっているのが悪い気がしたが、家庭が大変な時期(我が家にも反抗期がきた)だったために、家庭を振り返る時間が確保できて助かった。
そして、どんな企業でも厳しい時期はある。
出戻りの部長が開発し、大々的に売り出した製品が思うように売れず会社が傾いたのだった。これまでの汚点を挽回しようとしたのが裏目にでた。
結局また責任を取らされたあいつがどうなったのかはわからない。
というのも、会社が実施した早期退職制度に応募し、多めの退職金と共に会社を去ったからだった。
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