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ルサオ島に少しずつ近づくにつれて、ゲンキは早くも大はしゃぎしています。ゲンキにとって、サルたちは木登りで負けたくない相手です。
「ルカちゃん、ルサオ島へ先に行くから! それっ!」
「あっ! ちょっと、ゲンキくん……」
ルサオ島に着くのが待ちきれないゲンキは、すぐさま海の中へ飛びこみました。ルカは先に行こうとするゲンキを止めようとします。
しかし、ゲンキはそのままルサオ島を目指して泳いで行きます。これくらいのことは、いつも遠くまで泳ぐことができるゲンキにとってたやすいものです。
「もうっ! ゲンキくんったら!」
一足先に行きたがるゲンキの姿に、ルカはふくれっ面となっています。でも、本当はいつも明るいゲンキのことが大好きです。
そうするうちに、ゲンキはルサオ島まで一人で泳ぎ切りました。ゲンキは海の中から上がると、そのまま砂はまを歩き続けています。
そのとき、ゲンキの目の前にある数多くの木々に見覚えのある動物が現れました。けれども、それは一匹や二匹ではありません。
そこには、およそ百匹ぐらいのサルがゲンキの前にいます。サルたちの姿を見て、ゲンキはすぐに大きな声であいさつしようとします。
「みんな、こんにちは! 久しぶりにみんなと遊びたくて、ここへやってきたよ!」
ルサオ島にひびくゲンキの声ですが、サルたちからの返事は何もありません。この島へ以前やってきたときには、サルたちのにぎやかな声がありました。
ゲンキは、サルたちに何か事情でもあるのではと思い始めました。
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