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「夜中にお便所へやってくるとは、いい度胸をしているようだな」
目の前に出現したお化けは、白い着物姿ですぶぬれになっています。ゲンキは板張りのところを見ましたが、そのお化けには足がありません。
「足がないということは……。やっぱりお化け?」
「その通りさ! わしはベッチョリという名前じゃ」
ベッチョリは、こわそうな顔つきでゲンキをじろじろと見ています。それは、今から自分の出生の秘密をゲンキの前で言おうとする前ぶれです。
「わしがどうやって生まれたか教えてやろうか。それは、おめえのおねしょから生まれたのさ」
「お、おねしょから生まれただって……。そんなの絶対ウソだい!」
「そんなことを言ってもいいのかなあ。赤おにの子供なのに、いまだにおねしょが治らないとはなあ、ぐふふふふ!」
ベッチョリは、便所の中で不気味な笑い声をひびかせています。その間も、ひとだまがゲンキの周りを飛び交っています。
すると、ベッチョリは他のことが気になるゲンキにおそいかかりました。
「ほれほれ、そこばかり気にしてもいいのかな。ぐふふふふ!」
「うわっ、うわわわっ!」
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