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ゲンキは、他と比べてダントツに高い大きな木を登っていきます。手慣れた様子で登り続けると、あっという間にてっぺんまでたどり着くことができました。
「みんな、こっちを見て! こんなに高いところまで登ることができたぞ!」
「ゲンキくんはすごいなあ。あんな高い木のてっぺんまで登ることはできないよ」
ゲンキのすごさと元気さには、他の子供たちもおどろくばかりです。
そんなゲンキの様子を、遠くからながめている人がいます。そこには、やさしそうな男の人と女の人が立っています。この二人は、ゲンキのお父さんとお母さんです。
「あれだけ高いところへ登るのは、大人でもなかなかできないけど……」
「でも、ゲンキくんはそれをいとも簡単にやってのけたからなあ。赤おにの子供であっても、おれたちにとっては大切な子供だよね」
「そうだよね。ゲンキくんと初めて会ったときのことは、今でも覚えているわ」
二人の心の中では、たらいが海から流れ着いたあの日のことを思い出しました。そのたらいの中にいたのは、大声で泣いている赤おにの赤ちゃんでした。
「赤おにの赤ちゃんを見て、あたしは死んでしまった赤ちゃんのことを思い出したわ」
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