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第3話 ゲンキくんと便所のおねしょお化け
(1)おねしょお化けベッチョリ
それは、ある日の真夜中のことです。
「お、おしっこがもれるよ……。もうガマンができない……」
ゲンキは、腹がけをおさえながら暗やみの中を走っています。その表情は、おしっこを必死にガマンしているのでとても苦しそうです。
しばらく走ると、ゲンキの目の前に古びた便所が現れました。その便所は、暗やみにうかんでいるのでとても不気味です。
でも、ゲンキは赤おにの男の子です。お化けが現れようと、その場から逃げるようなことはしません。
「おしっこが出ちゃう……。お、おしっこがもれる……」
ゲンキは、大急ぎで古びた便所の中へ入りました。わずかに入る月の光をたよりに、ゲンキは真ん中に長方形の穴が開いた便所へしゃがみました。
すると、便所の周りがなぜか急に明るくなってきました。真夜中なのにやけに明るいことに、ゲンキも少し不気味さを感じ始めました。
「周りにひとだまが飛んでいるということは、もしかして……」
そのとき、ゲンキの前にあやしいかげがうかんできました。そのかげは、少しずつその姿を現しています、
「うわっ! ぼくの前にいきなり現れやがって!」
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