いつものユメ

2/6
1人が本棚に入れています
本棚に追加
/99ページ
「ん、ん」 長い髪が首にまとわりつくのが分かる けたたましいアラームの音が鳴る 窓から見える景色は、見慣れたものだ 太陽が眩しくて少し目を閉じると、いつものユメが目の前に映り出す 飛び込み台の上 色々な歓声 ゴーグル越しの少し薄暗い景色 電子音とtake your markそんな聞き慣れた英語 「ねーちゃん!ねーちゃん!起きて!」 「今日からまた遠征でしょ!」 あーそーだっけ… 朝から元気な弟の声とアラームで目覚めは最悪 平日なのにまたか…… そういえば学校全然行ってないあんときからか… 行かなきゃなー… 「ねーちゃん!もぉ!」 「にーちゃんも!起きてよ!」 あー眠い…… 「あ!やっと起きた!」 さっきからずっと元気よく兄と姉を起こす弟 桐嶋太陽 小6 「ねみぃよ……」 背が高くモテる兄けど恋愛に興味なし 桐嶋颯太 高3 ハンドボール日本代表候補 んで私、桐嶋芽里琉 中一 で一応水泳ジュニアオリンピック選手 「朝ご飯食べちゃて?」 お母さんの声が聞こえると同時に朝にしては豪華な料理が出てくる 「あ!そー言えばねーちゃん今日学校行くの?」 「行くしかないでしょ…少しはホント馬鹿だよね太陽わ……」 「バカって!……」 「ごちそー様でしたー」 「ねーちゃん!にげんな!」 「行くぞー」 「あ!待ってよ!にーちゃん!ねーちゃん!」 弟は小学校へ 兄は高校へ 私は母に迎えの時間を伝え中学へ 学校に着くと素早く2階に上がるドアを開けて 「はよ……」 呟きはいると騒がしいはずの教室が静かになる (早く時間になってくれ) そう思ってずっと窓の外を眺めるだけの学校生活だ 「めりるさん今日遠征なくなってしまったみたいだから…」 そんな!マジか勘弁してくれ! 少し顔出すだけのつもりだったのに! 「え、じゃあ今日はずっと学校ですか?」 「まぁそうなるよね…」 ねぇほんと勘弁してよ…
/99ページ

最初のコメントを投稿しよう!