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思いがけず雨が降って来て小走りに駅まで急いでいたものの、あまりの雨の強さにお店の軒下に逃げ込む。 どんよりとした雲は厚くなかなか止みそうにない。 このところ暖かかったせいで薄着で出社していたし、雨に濡れて身体が冷えてくる。 駅までまだ少しあるし、濡れたまま電車に乗るのも憚れる。 どこかのお店に入ろうにもどこも混み合っているようで、困ってしまった。 スマホを取り出し連絡帳をスクロールする。 通話ボタンを押しかけて、やっぱりスマホをしまった。 止みそうにない空を見上げて何度目かのため息をついたところで遠慮がちなクラクションが鳴った。 見ると車の中から増田さんがスマホを指差している。 慌ててカバンを開けると静かに着信を伝え震えている。
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