episode240 倒錯と狂気の進む先 ②

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本当に渋々といった態度で 薫は僕の前の席に腰を下ろすとメニューを手に取った。 「『何かあったのか?』とか『話があるなら聞くぞ』とか言わないんですか?」 「まあ、基本おまえの話なんか聞きたくないからな」 「嬉しい!」 「はあ?」 「本当に僕に興味ないんだと思って」 「おまえふざけてんのか?一発殴るぞ」 殴るぞと言われたって 僕は笑顔で首を横に振る。 この人は本当に興味ないんだ。 まわりのことにも全然――。 周り席を見渡してみると 同じ音大の生徒であろう女の子のグループばっかりだ。 皆一様にキラキラした瞳で 憧れの巻き毛の王子様を見つめている。 気付いているのかいないのか 当の本人はメニューから顔を上げやしないけど。
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