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本当に渋々といった態度で
薫は僕の前の席に腰を下ろすとメニューを手に取った。
「『何かあったのか?』とか『話があるなら聞くぞ』とか言わないんですか?」
「まあ、基本おまえの話なんか聞きたくないからな」
「嬉しい!」
「はあ?」
「本当に僕に興味ないんだと思って」
「おまえふざけてんのか?一発殴るぞ」
殴るぞと言われたって
僕は笑顔で首を横に振る。
この人は本当に興味ないんだ。
まわりのことにも全然――。
周り席を見渡してみると
同じ音大の生徒であろう女の子のグループばっかりだ。
皆一様にキラキラした瞳で
憧れの巻き毛の王子様を見つめている。
気付いているのかいないのか
当の本人はメニューから顔を上げやしないけど。
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