episode240 倒錯と狂気の進む先 ②

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「やれやれ」 大財閥の次男坊。 芸術家肌の孤高の王子様。 おまけに東洋と西洋のいいとこどりのハーフ。 それだけでもまわりは放っておいてはくれないだろう。 「コミュ障と言うらしいですよ。そういうの世間では」 「何?」 「コミュニティー障害。他人と関わるのが苦痛な薫お兄様みたいな人のこと」 美しく尖った鼻先と大きな鳶色の瞳に うっとりしながら僕は次兄をからかってやる。 「でもどうして苦痛かって言うと、人一倍優しいからなんですって。心が敏感で、人に気を遣いすぎて、だから疲れてしまうの」 「分かったようなこと言うな」 薫は拗ねた子供みたいにそっぽ向く。 「おまえだって違う意味コミュ障だろ」 「違う意味――そうね、僕は違う意味」 思わず吹き出した。
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