100人が本棚に入れています
本棚に追加
「やれやれ」
大財閥の次男坊。
芸術家肌の孤高の王子様。
おまけに東洋と西洋のいいとこどりのハーフ。
それだけでもまわりは放っておいてはくれないだろう。
「コミュ障と言うらしいですよ。そういうの世間では」
「何?」
「コミュニティー障害。他人と関わるのが苦痛な薫お兄様みたいな人のこと」
美しく尖った鼻先と大きな鳶色の瞳に
うっとりしながら僕は次兄をからかってやる。
「でもどうして苦痛かって言うと、人一倍優しいからなんですって。心が敏感で、人に気を遣いすぎて、だから疲れてしまうの」
「分かったようなこと言うな」
薫は拗ねた子供みたいにそっぽ向く。
「おまえだって違う意味コミュ障だろ」
「違う意味――そうね、僕は違う意味」
思わず吹き出した。
最初のコメントを投稿しよう!