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「そんな事どうして俺に聞くんだよ?」
最もな答えだ。
「そもそも善悪を前提にしている事でもないだろうが」
それも言えてる。
「それじゃ、薫お兄様が貴恵お姉様の立場なら?」
「あ?」
薫は訝しげに箸を止めた。
「貴恵お姉様の立場でも同じことが言える?」
僕が食い下がると少し首を傾げ
それでもやっぱり首を横に振った。
「色々されたけれど、ここらで一旦僕が謝るべきだとは思いませんか?」
「何をいまさら」
「遅すぎる?」
いや、たとえ遅すぎたとしても。
僕の中に初めて
憎悪と憐れみと罪悪感が同時に芽生えたのは事実だ。
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