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「例の羽のガウン――征司お兄様の物でした」
「だけどもう彼の物ではない」
「ええ。あれは――」
「ミアネ、和樹」
ジュンは何も言う前に韓国語で僕に詫びた。
「彼の残留思念と――現在のガウンの持ち主の思念があまりにもしっかりリンクするものだから。こんな事って滅多にないんだ」
寝起きの頭で言いたいことを
ジュンは必死に難しい日本語に置き換える。
「なんて言ったらいいか――それこそ恨(ハン)の思念が寸分違わずシンクロするのさ」
「言いたいことは分かります」
僕は含み笑いで頷いた。
「まるで双子みたいにでしょ?」
そこでようやく
夢から醒めたみたいに。
我が家の事情を知る椎名涼介は
ハッとして顔を上げた。
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