episode240 倒錯と狂気の進む先 ②

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「キエエエエエァァァ――!」 その時だ。 悲鳴とも獣の戦慄きともつかない声と一緒に 貴恵が飛び出してきた。 常軌を逸した まさしく嫉妬に狂った女鬼の顔つきで。 寸でのところで僕は扉の後ろに身を引いた。 が――。 鋭利なペーパーナイフの刃先が 前髪すれすれを掠めて額に鋭い痛みが走った。 「私は……あんたが嫌い……」 地を這う虫のようにざらついた 不快な低い声が言った。 「あんたが大嫌いよ……和樹っ……!」 呻くように唱えながら 貴恵はペーパーナイフを両手で握り水平に構え直した。 「お姉様……」 助走をつけ右足を一歩引く。 「お姉様……やめて……!」 「イヤァァァァァーー!」 今度は本気で 僕を刺し殺す気で来た。
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