episode240 倒錯と狂気の進む先 ②

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バルコニーの真下に征司がいた。 「征司お兄様っ……!」 門の外に目をやれば 愛車のベントレーが斜めに乗り捨ててある。 きっとバルコニーで繰り広げられている ホラー映画さながらの異常事態に気付いて駆けつけて来たんだ。 と――。 よそ見してる間に 「落ちろ!」 「うぁっ……!」 貴恵のナイフが手すりを持つ僕の手を掠め 僕は大きくバランスを崩した。 「和樹っ……!」 征司が叫ぶ。 後ろ向け真っ逆さま転落する寸でのところで 僕は手すりを握り直しなんとか持ち堪える。 「貴恵……?貴恵なのか……?」 そこでようやく。 階上の殺人鬼が 他でもない双子の妹だと分かったんだ。 「なんでっ……!?」 こんな時なのに笑えるぐらいあんぐりして 征司は両手を開いた。
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