episode240 倒錯と狂気の進む先 ②

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「九条との愛の為に死ぬんですって!」 最後の嫌がらせとばかり 階下の征司を覗き込み貴恵は告げ口した。 「なっ……!」 こんな状況で馬鹿らしいけれど その一言は確かに僕に一番ダメージを与えた。 「僕はっ……」 膝が震える。 言い訳したい。 今すぐにでもあの人の前に跪いて醜い言い訳をしたい。 征司と視線が交わる。 僕はただ無意味に首を振った。 「アアッ……!」 「和樹っ……!」 貴恵が再び僕の腕を狙って刺してきた。 もう何もかもが限界だった。 そんな時だ――。 「飛べ!」 征司が鋭く叫んだ。 「俺が絶対に受け止めてやるから――」 こちらに手を伸ばしてあの人が僕に命じる。 「俺の上に飛べ!」 僕がお兄様の命令に逆らったことがあるかって? 逆らうべきだった。 常識で考えてそんな事したらどうなるか。 分かるだろ? 分からないお馬鹿さんは僕と一緒に次の地獄へ行こう。
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