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「今度ばかりは僕、本当に殺されるかもしれません」
冗談でもなく
それでも微かに笑って僕は言った。
この期に及んでまだ
勝ち誇ったところがあったのかもしれない。
奪われた者を蔑み
欲しい物を勝ちとった自分を自負する卑しい心だ。
「命が惜しきゃ大人しくしていることだ」
そんな僕の心を見抜いてか
ジュンは咎めるように言った。
「これ以上誰も刺激するような真似をしてはいけない」
「肝に銘じておきます」
素直に返事をする。
でもそんなの
僕を知る人間はもちろん信じやしない。
「和樹――」
「はい?」
寝間着姿の椎名涼介は気だるく僕の肩を抱き囁く。
「今は僕のベッドが一番安全だ。そう思わないか?」
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