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ジュンの言う恨(ハン)の思想
恨(ハン)という愛の形について考えながら
僕は陽の昇り切った街を歩いた。
読んで字の如く恨みの感情であり
また恨むほど愛しているという意味ならば
僕はまさにあの屋敷で一心にその感情を受けていると言える。
征司からも。
貴恵からも。
九条さんからも――きっと。
僕の無意識がそんな事態を招く。
それを魔性と呼ぶんだとジュンは言った。
そんなもの本当は
全て立ち切るべきなのかもしれない。
僕の心が強ければ
出来ない事ではないだろう。
少なくとも
ここまでの事態にはならなかったと思う。
だけど実際
僕の心は弱いから。
周りを巻き込む。
無意識に意識的に
いつだってどこまでも――。
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