episode240 倒錯と狂気の進む先 ②

9/30
前へ
/30ページ
次へ
その足で僕が向かったのは 実に自分でも予想外の人の所だった。 「おまえ……何だよ?急に呼び出したりして」 「ちょうどランチ時だったでしょう?」 昼休み時の学生たちで賑わう 洒落たウッドデッキのカフェテラスに仏頂面で現れたのは 「それに僕、すごく薫お兄様に会いたかったんですよ」 「はあ?なんで?」 天宮家のグレた白雪姫。 新雪みたいな肌に鳶色の髪と瞳が麗しい次男の薫だ。 「さあ、なんででしょう」 それはきっとあなたが我が家で唯一 僕に恨の感情を持っていない人だからだ。 「相変わらず意味分かんねーな、暇人が」 そっけないぐらいの返事が 今はむしろ心地良い。 「何もこんなとこまで来なくても、家に帰ればイヤでも顔合わせなきゃなんねーのに」
/30ページ

最初のコメントを投稿しよう!

100人が本棚に入れています
本棚に追加