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その足で僕が向かったのは
実に自分でも予想外の人の所だった。
「おまえ……何だよ?急に呼び出したりして」
「ちょうどランチ時だったでしょう?」
昼休み時の学生たちで賑わう
洒落たウッドデッキのカフェテラスに仏頂面で現れたのは
「それに僕、すごく薫お兄様に会いたかったんですよ」
「はあ?なんで?」
天宮家のグレた白雪姫。
新雪みたいな肌に鳶色の髪と瞳が麗しい次男の薫だ。
「さあ、なんででしょう」
それはきっとあなたが我が家で唯一
僕に恨の感情を持っていない人だからだ。
「相変わらず意味分かんねーな、暇人が」
そっけないぐらいの返事が
今はむしろ心地良い。
「何もこんなとこまで来なくても、家に帰ればイヤでも顔合わせなきゃなんねーのに」
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