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「これは・・・・・・・・俺なのか?」
15時部屋に入ってきたのは俺だった。リュックから人形を取り出すと部屋に置きそのまま出て行った。
冷や汗がでる。これは一体どう言うことなのか、この時間は仕事中で帰宅していない。しかもこの人形はどこから持ってきているのか・・・・。まさか俺が回収しているのか・・・。
連続殺人と言われるぐらいなのだ犯行手口は同一に違いない。しかし・・・本当にここに映っているのは俺なのだろうか・・・・。
ピーンポーン。チャイムが鳴る。
鼓動が早鐘のようにのたうちまわる。この家のチャイムがなったのは初めてだ。急いで現金をポケットに詰め込んで2階の窓から飛び降りた。
「待て!」
捜査員だろうか。バラバラ人が出てきて怒号が飛び交う。
「確保!」
タックルされ組み敷かれる。土を食みながらそれでも力なく叫ぶ。
「違う!・・・俺は・・・違うんだ・・・」
やがて意識は暗転していく。
取調べの中でわかったことは6人目の被害者のマンションの映像に俺が映っていることや他の被害者の住所をネットオークションを通じて手に入れていることだった。仕事中も休み時間を私用でズラして取っていたことも明らかになっていた。
知らされる事実は寝耳に水で自身の記憶すらない。そもそも他の被害者宅にどうやって押し入ったと言うのか。鍵だってかかっているだろうに。俺自身でも説明が付かないのだ。それでも俺は犯人になるだろう。客観的に見ても俺が犯人であることは確かに濃厚なのだ。
こうして俺はオークションの落札者の住所を手に入れては殺害を繰り返すと言う残忍極まりないシリアルキラーとして世間を賑わせた。
さらに1ヶ月経ち、刑務所の天井を諦念で見つめる。一体どこで間違えたのだろう。人形を捨てたことだろうか。流れ星に祈ったことか。今までの生き方が悪かったのか・・・・あまりにも不条理。
果たして死刑の日はいつになるのだろう。
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