流星

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   家に帰ると電気がついていた。接触の悪いスイッチを一瞥すると定位置に座る。テレビを無造作に点けると情報番組の音が聞こえる。  薄い財布を取り出して見ても中身はスカスカ。給料日からまだ少ししか経っていないと言うのに気分は憂鬱になる。昼間にパチスロで持っていかれてしまった結果であるがなんとも。昔と違って世知辛い。  タバコに火を点けて、テレビを見るとアンティーク人形が目に留まった。今巷ではブームが来ているらしく値段が上昇しているらしい。どこかで見たことがあると思ったら昔捨てた人形だった。価格は20万円。  偉くなったもんだと煙を吐く。小さいときに祖母から貰ったが綺麗な人形などに興味もなく、乱雑に扱っていたらいつの間にか無くなっていた。たぶん捨ててしまったのだろう大切にしまっておけば今頃いい小遣いにできたのに。  窓から外を見ていると流れ星が見えたので願ってみたのだ。捨てた人形が帰ってきますようにと。  星が見えなくなるとバカバカしくなりさっさと床についた。明日は生活費を下ろすとかそんなことを考えながら眠りについた。  翌朝目が覚めると枕元に人形が置いてあった。まぎれもなく昔捨てた人形だ。
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