災厄は過去からやってくる

打算

　
　家中の戸締りを確認すると人形を確認する。確かに先日売りさばいた人形のはずだが・・・・。

　古いアパートでその気になれば侵入も可能だと思うがメリットがない。なにも盗られていないし、そもそも盗む価値があるものは持っていない。人形だけ置いて帰ったのか？

　もしくは人形が自発的に帰ってきたのか・・・・。バカバカしいが薄気味悪いことこのうえない。怖気を感じたものの一つの考えが頭を占めた。つまり、もう一度転売できないかと。

　気味が悪い人形だが市場価値がある以上もう一度売ってしまっておさらばするのが一番だ。すぐにネットに出品して売り捌いた。今度も１４万円と十分な金額となったし今回でいないくなれば良し、戻ってきても売れば良しと思うことにした。

　それから６日後、緊張の面持ちで家のドアを開ける。明かりをつけると部屋の様子は変わりなくなりもなかった。たぶん戻ってこないだろう、換金できないのは少し痛いけどやっと正常な日常に戻れるのでホッとした。

　次の日、家の扉を開けると明かりがついていた。緊張の面持ちで窓の側を見てみるとやはり人形が置いてあった。