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そうして生まれ変わったような気分になった
後、無の時間の次に好きなのは、何をやるかを
考える時間だ。
ディサは、実際に何か楽しいことをやっている
時間よりも、それを計画している時間のほうが
好きかもしれない。
思えば子どものころからそういう傾向があった。
コインを挿入して、ハンドルを回すと出てくる
カプセルトイ。安価なのもあって、たいてい
くだらないものが出てくるのであるが、その
ワクワク感が今でも大好きなのである。
出てくる玩具より、出てくる前の期待感が
好きだ、ということに気づいたのは最近の事。
ディサの実家は貧困家庭ではなかったが、
他の同じような経済状態の家庭とくらべると、
あまり玩具を買ってもらえなかった。
そのかわり、祖父が買ってくれた。ディサが
好きだったのは、大型店舗で完成された大きな
玩具を買うよりも、寂れた感じの、そして
どことなく怪しい感じの小さな店舗で、何か
変なものを探す、ということだった。
たいていろくなものが見つからないのであるが、
でも、何かありそう、何か今まで見たことの
ないものが見つかりそう、といった期待感が、
なぜかそういった怪しい小型店舗にはあった。
ディサはそれを、自分の中で、ガラクタが醸す
ドキドキ感、と名付けている。それは、モノ
だけでなく、人からも感じることがある。本人
には少し申し訳ないのだが。
一人で笑いをこらえていると、リビングの
端からこちらを見る目がある。四つの目だ。
タピオとウッコだ。
タピオはグレートピレニーズのオス、2歳、
白色。ウッコはげっ歯類のチンチラ、オス、
1歳、同じく白色。
2匹とも、大人しいのもあって、この部屋に
いるとまるで偽装しているかのように目立た
ない。本人たちにそのつもりはないのだろうが。
ディサが去年一人暮らしを始めるタイミングで、
親が買ってくれたのだ。
タピオは呼べば近寄ってくる。もう、ほとんど
ディサと同じぐらいの体重になってきた。
ウッコは呼んでも来ないことも多いが、気分で
近寄ってきて、ヒザに乗ってきたりする。
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