天空の家のラウニ

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天空の家のラウニ

  人生において無駄な時間とは、実際のところ  いったいどれほど無駄なのだろうか。無駄の  全くない人生を人は送ったとき、果たして  幸せになれるのであろうか。    ディサは、自分でそれを試したいとは思わな  かった。自分が好む無駄、好まない無駄に  関わらず、納得がいけば受け入れる、そして、  それが自分を形作ると信じていた。    納得さえしていれば、なんだっていいのだ。     けっきょく、いつものごとく、古い動画  を見たり、けん玉をしたり、コマを回したり  しているうちに夕方近くなった。    街に降りてタピオを散歩させることにした。  家を近くのマウントポイントまで向かわせる。  ダージリンという小さな村だ。    マウントポイントに設置して、タピオとともに  家から降りる。ウッコはそのまま部屋で  遊ばせておくことにした。    6月の夕方、標高二千メートルは少し寒い。  薄手のジャケットに腕を通し、タピオと共に  南の郊外のほうへ歩く。ダージリンは、  ヒマラヤ山脈の麓、谷合の村だ。    左右山に挟まれた寂しい山道を20分ほど歩き、  また折り返す。村へ戻ってきたら、家には  戻らずそのまま近くの食堂へ行く。  この村唯一の食堂、インドラだ。    この村のマウントポイントを使うときは  だいたいここで食事をする。香辛料を使った  スープに野菜とチキン、パンを漬けて食べる。  このパンの名前を忘れたが、何だったろうか。    タピオにもペット用茹でチキンを注文する。    この食堂は、あまり繁盛しているようには  見えないが、味もそれほど悪くはなく、  マウントポイントもあるので、それなりに  客は入るようだ。    そして、家に帰ってゆっくりお風呂に浸かる。  ディサは、ムー人の末裔なので、風呂には  しっかりとお湯を張って、ゆっくり入る。    そして、タピオとウッコもお風呂が好きだ。  グレートピレニーズでもタピオはかなり  泳ぎが得意なほうだろう。    チンチラの中でもウッコはホワイトチンチラと  呼ばれる品種で、ここ数万年で品種改良された  ものだ。本来チンチラは乾いた環境を好み、  お風呂も砂風呂だが、品種改良のものは  どんどん水に入っていって泳ぐ。  
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