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「離婚か・・・ごめん、俺全然知らなくて。」
「知らなくて当然だもん。気にしないで。」
田んぼ道を2人並んで歩く。
申し訳なさそうにする彼にそう言えば、
ごめん、ともう一度謝って。
「・・・ほんとに、久しぶりだね。」
「だな。元気だった?」
その言葉に曖昧に笑って頷く。
私と橋本くんは、小学校の同級生だった。
人数が少なく各学年1クラスしかない私たちの小学校。
当然クラス替えも存在せず、
全校生徒の名前が言えるほどだ。
同じ名字だった私達は、
生徒だけでなく先生にもよくからかわれた。
最初はからかわれるのが嫌で、
橋本くんとはろくに会話もしなかった私。
けれど、気づいたら仲良くなっていて。
紛らわしいため周りは私達のことを下の名前で読んで区別したが、
私と橋本くんはお互いの事を名字で呼びあっていた。
「もう、4年も前の事なんだな~。」
橋本くんが懐かしそうに笑って、私も頷く。
橋本くんは中学に上がる前にこの町から引っ越し、
それから連絡を取ることは1度も無かった。
単純に連絡先を知らなかったのだ。
東京に引っ越した、そんな情報しか知らなくて。
沈みかけている太陽が、正面から私たちを照らす。
吹いている風が生温くて、なんとなく息苦しく感じた。
いや、これは風のせいではないか。
「これから、またよろしくな。」
「・・・うん、よろしくね。」
彼の笑顔が眩しくて、
少し、泣きそうになった。
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