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「あ、お疲れさま。」
「おつかれ。」
ヒラヒラ、と手を振る橋本くんに私も手を振り返す。
そばまで行けば橋本くんがゆっくり歩きだして、
私も隣に並んで歩く。
学校を出て少し歩くと、小さな神社があって。
帰り道、そこから一緒に帰るのが日常になっていた。
「今日は寒いね。」
「ね。夏ももう終わっちゃったんだな。」
天気の事、学校の事。
なんでもない話をしながら、帰り道を歩く。
「佐々木のさ、カツラがズレててさ、」
「うそー!笑わなかった?」
「笑っちゃったに決まってるじゃん。」
「ふふっ、でも私も多分笑っちゃうな~。」
橋本くんと話すのは楽しくて。
まるで小学生ときに戻ったみたい。
4年も会ってなかったなんて、忘れてしまいそうになる。
笑いながら話を続ける橋本くんの横顔を見上げる。
小学校の時は私の方が高かった身長も抜かされて、
声も低くなって、顔つきも少し変わって。
けれど、屈託のない笑顔は昔と全く変わらないままだった。
そんな彼の笑顔を見る度、胸がぎゅっとなって。
なんとも形容できない切なさが、襲ってくるのだ。
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