0人が本棚に入れています
本棚に追加
「橋本くんと良い感じみたいじゃん!」
「そんなんじゃないって。」
昼休み、実咲と2人でお昼を食べていれば、
話題は橋本くんの話になって。
私の言葉にまたまた~、と笑って私の脇腹をつつく。
「毎日一緒に帰ってるのに何言ってんのよ。」
「それは・・・変える方向が一緒なだけだよ。」
ただの友達なのだ、私と彼は。
小学生の時から、ずっと、そう。
彼にとって私はその程度の存在なのだ。
今も、昔も。
「あんまり話したことないけど、いい人だよね、橋本くん。」
「・・うん。私もそう思う。」
「一緒に話してると楽しい?」
「・・・・うん。」
ふーん、とニヤニヤ笑う実咲。
無性に恥ずかしくなって、そういう実咲はどうなのよ、
と話題を実咲の彼氏の話へと変えた。
私たちの関係は別に深いものではない。
ただの幼馴染、ただの友達。
分かっている、分かっていたはずなのに。
・・私は、浮かれていたのかもしれない。
「俺、来月また引っ越すんだよね。」
「・・・え?」
放課後、
いつものように2人で帰路につく。
勉強の話をして、部活の話をして。
その続きのように、何でもない事のようにそう言った彼。
突然の言葉に思考が停止する。
「・・どこ、に?」
「アメリカ。」
最初のコメントを投稿しよう!