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絞りだした疑問の答えに、また言葉を失ってしまう。
来月?しかも、アメリカ?
「親父の仕事の都合でさ。参っちゃうよな~」
そう言って彼は何てことなさそうにははっ、と笑う。
頭の中がぐちゃぐちゃで、
何もいう事が出来ず俯いてしまう。
胸が張り裂けそうに痛んで、
色んな感情が入り混じってもう訳が分からない。
そうだ、そうじゃないか。
彼にとって私はその程度の存在なのだ。
昔からそう、分かっていた事じゃないか。
「・・・そっか。」
何とか絞り出した相槌に、
橋本くんはそうなんだよ、と笑う。
「だからさ・・」
「ねえ、もう一緒に帰るのやめよう。」
「・・え?」
これ以上話を聞きたくなくて、
橋本くんの言葉を遮った。
突然の私の言葉に彼は驚いた顔をして、
橋本?と、私の名前を呼ぶ。
「どうしたの、急に。」
「別に。前から言おうと思ってたの。あとさ、」
「もう私の事、橋本って呼ばないで。」
途中から彼の顔を見る事は出来なくなっていた。
俯いたままそう言って、彼から背を向ける。
「ちょっ・・なんだよ急に・・!」
後ろから彼の戸惑ったような声が聞こえてきて、
けれど振り向かないで歩き始める。
分かっていた事でしょう。
私たちはただの友達だ、笑って離れる事が出来るのだ。
そんなこと、昔から知っている。
だから泣くな、私。
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