25人が本棚に入れています
本棚に追加
彼の名前はリアム。この国の三番目の王子で、彼はまだ、10才になったばかりでした。
幼い王子には熱心な教育係がついており、読み書きから数学、歴史、経済学、政治学など、幅広く教え込まれていました。
王子としてのたしなみを、ということで、芸術や武術の稽古も毎日ありました。
彼はお城で勉強三昧の日々を、とてもつまらなく感じていました。
ある日リアムは、先生に聞きました。
「なんでこんなに勉強するの?」
すると、先生は答えました。
「立派な人になるためです。あなたのお父様や、お兄様のように。そのためには、たくさんの事を知っていなければいけません」
リアムは思いました。そんなに立派にならないといけないのか、と。
確かに、王国を治める父や、優秀な二人の兄を、リアムは尊敬していました。
しかし、リアムは不思議にも、彼らのようになりたいとは思いませんでした。
(僕はどうしたいんだろう……)
彼は自分の将来について、あまり想像ができませんでした。
最初のコメントを投稿しよう!