第5章「空の向こう」

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 □  試行錯誤の春、その朝も重苦しい天気だった。 「ああもうダメだ、眠い」  休憩時間はそうやって机に突っ伏すし、次の授業が始まる時間になっても、ぼんやりとした意識はそのままになんとなく号令に合わせて起立した。  しかし生ぬるい感覚は長く続かなかった。 「諸君、国家とはなんだ!」  開口一番である。  入ってきた教官が張ったこの声に、頭のどこかがビクリとした。
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