第2章「夏空へ」

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「だから!」  今、返事をしようとしていたのだ。  いいからスマホを返せ。 「既読スルー、まずいって。いやまずいってホント。井達もさー」  波瀬が余計なお世話を口にしたので、だから早く返せと口を開けた時だった。 「お前ら、何時まで騒いでるつもりだ!」  先任期の声それも数名分が、時間を止めた。  絶妙に揃った集団行動をとった面々だったが、この瞬間に至っては美しいほど揃って動きを止めた。  まるで、一時停止された動画のようである。  そしてその直後に直立姿勢をとるわけだから、ある意味で日頃の成果が出ているとも言える。  問題は、先頭にいたのが百松だったことだ。 「じゃあまず、騒いでいた理由を話してもらおうか」  嫌な予感しかしない。
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