本編3 かんちがい

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「勘違いじゃねーって。あっ? なに食ってんだ。それ1番好きなやつ!」 皿からチョコエンゼルを強奪された晴太は、ひとり涼しい顔して外を眺めてる朋也に泣きついた。 「俺のエンゼルがなくなった! 朋也ー、おまえはトモダチだよな? 分かち合う心を持ってるよなっ?」 「んーどうかな。それより君、あれいいの?」 壁際のベッドに座っていた朋也が窓の外を指差す。 「え、なに?」 「そのキツネの女の子? キツネちゃんって、彰光から聞いたけど、ケモノ耳としっぽがついてるんだよね?」 「そうだけど? はっ、まさか俺よりハクにドーナツあげたいとかそういう?!」 さては口説く気か! 俺だったらドーナツ半分で落ちるのにっ。 「朋也ー、口説くんなら俺にしてー」 エンゼル食いたい。 ぱんと手を合わせて拝んだら、朋也が甘い目元を細めてほほ笑んだ。晴太の手の甲をするっと色っぽい手つきで撫で上げてくる。 (うひっ?!) 「セーイちゃん? いいから黙って外を見て?」 色気たっぷり、じゃなくて迫力満点だ。 産毛が残らず逆立った気がする。 「うは、ハイ」 晴太はべたっと窓に張り付いた。 窓のすぐ向こう、晴太の部屋が面する庭には大きな桜の木があって、枝の先端は窓から手を伸ばせば届きそうな距離だ。     
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