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その桜の葉の合間で、白くてフサフサしたものが揺れるのを見つけた晴太は「ぎゃっ」と目を剥いた。
勢いよく窓を開け放つ。
「ハクぅ?! そんなとこ登っちゃったら危ないってーっ!」
呼びかけたら、ガサガサッと葉音が鳴って長い髪とキツネ耳が見えた。太い枝の根元に腰かけた白兎が前かがみになって顔をのぞかせる。
「セイタ、そっち行っていい?」
小さめの声でそら恐ろしいことを言ってのけた白兎が、上方の枝につかまりながら立ち上がる。
晴太は両手を前に突き出して叫んだ。
「だ、だ、駄目あぶないっ! 座ってて。幹につかまって座ってて! すぐ迎えに行くからっ」
(落ちたらどうすんだーーっ)
「・・・・うん」
白兎が素直に木の枝に座り直すのを見てから、晴太は朋也に「落ちないように見ててやってーっ」と頼んで部屋を飛び出した。
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