本編1 出逢い

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直後に聞き慣れた猛々しい咆哮が空高く響いた。 強大な妖気がぶわっと周囲に満ちる。 (ウル兄・・・!) 斜面の上から威風堂々と現れた銀のオオカミが、大キツネを激しく追い立てる。 激突を繰り返しながら二頭とも樹林の奥に消えていき、晴太はへなへなと力を抜いた。 「おーい晴太、ちびってねーだろうな?」 斜面の上から、先に救助されたらしい彰光が慎重に下りてくるのが見えた。 キャワワン(助かった、怖かったー)。 「ふえ・・・・」 タヌキを抱っこしたキツネの子が、たまらなくなったように涙をこぼし始める。 (うあー、泣いちゃったよ) カッコよく助けられなかったどころか、ギャアとか叫んで腰まで抜かした晴太は、バツが悪くて顔を上げられなかった。抱えてくれている手に鼻をこすりつけて、ペロペロ舐めるのが精いっぱいだ。 「・・・・セイタ?」 まだひどく震えている声に、胸がきゅうっとなる。 キャワン。 (大丈夫か?) タヌキの言葉は通じないだろうけど、心配してるのはきっと伝わるはずだ。 「これって夢・・・?」 (夢じゃないよ、助かったよ)と抱っこしてくれてる手をペロッと舐めたら、ポロポロッと涙が降ってきた。     
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