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(ああっ、余計に泣かせた! ウル兄、彰光、どっちでもいいから早く来て慰めてやってくれー)
「・・・・・・して」
焦ってオロオロしてた晴太は、キツネの子がささやいた言葉を聞き取れなかった。
キャワン?
(ごめん、なに?)
よく聞こえるように伸び上がった晴太タヌキを、キツネの子がうるうるの瞳で見つめてくる。
「・・・お願い」
(はうっ?!)
ドスッとまたハートを撃ち抜かれた。
泣いてる子にお願いなんかされたら、どんなことでも頷くしかない。
キャワッ!
(任せろ!)
晴太はお願いの中身を聞く前に「うんうんっ」と首をタテに振りまくった。
キツネの子のしっぽがふわっと付け根から持ち上がる。
「ほんと? ほんとにしてくれる? お嫁さん」
(うんうん、うっ、ううんっ??)
まだうんうん頷いてた晴太は、キュッと抱きしめられて目を白黒させた。
キャワン?
(え、ごめん、何するって?)
晴太の混乱にまったく気づいてないキツネの子が、恥ずかしそうに繰り返した。
「お嫁さん・・・・」
キャワーーーーーッ???
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