【パーテーションの向こう側】

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【パーテーションの向こう側】

「先輩!ちょっと来てもらえませんか!?」 自分を呼ぶ声に、佐久間(さくま) 圭介(けいすけ)は徐に顔を上げるとあたりを見まわした。 ふと動く影に気付いてそちらへ視線を向ければ、遠く――衝立(ついたて)の向こうに手を振る脇坂(わきさか) 秀悟(しゅうご)を見つけて、圭介は小さく息を吐くとゆっくりと席を立った。 一つ年下の秀悟とは、大学時代からの知り合いだった。 サークルが同じという以外の接点はなく、懐かれている感じはあったけれど、他の後輩とさほど変わらないつもりでいた。 圭介が入社した翌年、同じ会社へと入ってきた彼とお祝いもかねて二人で飲んだ時、酔った勢いもあったのか「俺、ずっと先輩のことが好きで。だから会社もここって決めてました」と、饒舌な口調でさらりと告白されたことで、この就職が綿密な計画の元にあったことが分かった。 元バスケ部という高い身長に、顔面偏差値の高さと屈託のない笑顔に、サークル内の女の子たちがきゃあきゃあと黄色い声を上げていたのを覚えている。     
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