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その日は午後から大雨で、台風が近付いている事もあり、風も強かった。
私たちがいつも溜まり場にしている廃工場のトタンの壁はガタガタと音を立てっぱなしで、工場の中も時折、風が渦を巻いていた。
もう学校にまともに行かなくなって半年以上。
このままでは卒業どころか進級も出来ないって担任の佐々木に今日も言われたところだった。
その腹いせもあって、いつも虐めている同じクラスの優等生、神野亜希子をこの工場まで連れてきた。
はみ出してしまった理由…。
そんな事を今更語っても仕方ないんだけど、私の場合はいわゆる家庭崩壊が原因。
パパは外で女を作って帰って来ない。
そんな中、ママもハーバリウムとかいう瓶の中に花を詰める教室の先生と出来てしまい、徐々に家を空ける様になった。
誰だってそんなんじゃ家に帰らなくなるし、学校も行かなくなるよね。
私とアヤとカズキはいつも一緒で、フラフラと街で遊んで、次第に学校にも行かなくなった。
それでもたまに学校には顔を出している。
カズキがお気に入りの歴史の先生、工藤先生の授業のある日だけは学校に行く事にしている。
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