9人が本棚に入れています
本棚に追加
この工場は少し前に解散させられた暴走族が溜まり場として使ってた場所で、真ん中に焚火が出来るドラム缶を半分に切ったモノが置かれてある。
私はそのドラム缶にいつもの様に工場の端に積んである木を放り込み、族が忘れて行ったガソリンを少し掛けて火をつけた。
アヤだけがタバコを吸うから火をつけるのはアヤの仕事。
その間も神野は私たちの後ろで小さくなって震えていた。
「座んなよ…。別に殺そうって訳じゃないしさ」
アヤが言うと、積まれたタイヤの上に神野はゆっくりと座る。
「別に勉強、教えてもらおうって訳でもないけどな」
カズキは声を出して下品に笑った。
私たちはここに集まってはつまらない話を日が暮れるまで続けて、寒くなっただの、お腹が空いただの、なんかのきっかけが見つかれば解散する。
そんな毎日だった。
「なんかお腹空かない…」
アヤがタバコを吸いながら言い出す。
最初のコメントを投稿しよう!