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ほら、あるじゃん…。
私はそれを拾い、中を見た。
高校生ではなかなかお目にかかれない一万円札が数枚と千円札が入っていた。
「お前、嘘つくと為にならないよ…」
そう言って空になった鞄を投げつけた。
そして私が髪を束ねていた飾りの付いたゴムを外して神野の髪を束ねてやった。
「コレと交換してやるから…」
私は神野の頭を撫でながら盗った財布をスカートのポケットに入れた。
「ダメ…。塾の参考書代なのよ…」
そう言う神野を睨む様に見ると、神野は口を噤んだ。
私は神野の財布から千円札を数枚出して、アヤに渡した。
「私が行ってくるよ」
アヤの手から千円札を引っ手繰る様にカズキが取ると、工場を出て行った。
工場から少し行ったところにコンビニがあった。
カズキの事だからレジ前で売っている揚げ物や肉まんを大量に買ってくる筈だった。
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