第一章 本の世界の彼と私

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さわり心地のいい上質紙に巻かれたクリーム色の単行本。 持っても重みを感じさせないその本は、それほど時間をかけずに読んでしまえそうだ。 聞いたことのないタイトル。 今日はこれを読んでみよう。 読む本を決めたら、いつもの席へと向かう。 そこは図書館の奥まった場所にあるソファだった。 図書館の白いすりガラスは、やわらかな日差しを手元に落としてくれる。 ソファ近くの本棚には読者が少ない専門書が置かれているから、自分以外の来館者が近づいてくることは滅多にない。
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