episode1 僕と君は、本の世界で恋をする

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episode1 僕と君は、本の世界で恋をする

『僕と君は、本の世界で恋をする 篠崎優人』 ◇第1章◇ その図書館に訪れたのはかれこれ数年ぶりだった。 以前はその図書館に置かれている敬愛している著者の本を読み尽くすため毎日のように通っていたというのに、暗記してしまうほどに読破してしまってからはこの図書館から足が遠のいていた。 記憶というのは時が経つと薄れてしまうらしい。 すでに暗記していたと思っていた本の内容が虫食いにより穴を空けられてしまったかのようにポッカリと思い出せなくなってしまい、その日は何度も読んだそれらの本をもう1度読み返したくなったのだ。 本が置かれている場所は忘れるわけがない。真っ直ぐにその本棚がある通路へと足を進める。 館内には大きな本棚が等間隔で並んでいた。その本棚全てに本がぴっしりと並べられているのだから、この世の中にはどれだけの著書があるのだろう。 その測りきれない量の多さに比例して、同じくらい思慮深い人がいるだと思ったら、頭が下がる。 目的の著書がある場所に辿り着き、通路を曲がる。するとその通路の先に以前自分がよく座っていた席に誰かが座っているのが見えた。     
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