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第一章 本の世界の彼と私
夏休みに入って八月最初の日曜日。
大学構内はとても賑わっていた。
今日はオープンキャンパス。
同じ柄のTシャツを着た大学生たちが、あちらこちらでプラカードを見せたり、ビラを配ったりしている。
その大学生たちの間を、少し緊張した足取りで高校生たちが歩いていた。
そして彼らに話しかけるのと同じように、大学生たちが私にも声をかけてくる。
それらを交わしながら進んでいくうちに、人はどんどん増えていく。
ここに来たのを後悔したけれど、来た道を戻るのは億劫だったし、私には大学以外に行くところもなかった。
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