第一章 僕は図書館で君に…

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第一章 僕は図書館で君に…

大学が夏休みに入って、8月を迎えた最初の日曜日。大学構内はとても賑わっていた。 同じ柄のTシャツを着た大学生たちが、あちらこちらでプラカードを見せたり、ビラを渡したりしている。 私は声をかけてくる彼らを素っ気なく交わしながらも、先へと進む。 途中、引き返した方が良いかもしれないとは思ったけれど、また彼らを交わしながら来た道を戻ることは億劫だし、大学以外の新しい行き先を見つける気力も湧いてこなかった。 打楽器や管楽器によるマーチングソングが遠くから聞こえてくる。 その音がする方へと躊躇いながらも歩いていく。 音の源である中央広場までたどり着けば、真夏の暑さに負けないくらいの熱気を帯びた空間がドンと待ち受けていた。 熱気の中心には、長袖学ラン姿の男子大学生と煌びやかなボンボンを持ったチアリーダーの女子大学生たち。 彼らは吹奏楽のマーチングソングに合わせて大学名を連呼しながら、手を振り上げている。 そして、それを囲む来場者たちの目には皆、未来への期待と希望の光が宿っているように見えた。 私はその集団を見ているのが辛くなり、逃げるように広場を横切り、講堂の中へと入っていった。     
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