神が憎い

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長いこと悪魔に囚われていた───。 今でも私に黒い闇が覆い被さる。すでに悪魔を葬り去ったはずなのに。 長らく足を鎖に繋がれていた歳月。まるで悪魔が棲まう蟻地獄のように這い上がろうにも、足を滑らせ掴むこともできず掌から零れ落ちる流沙。無情にもなだれ落ちていった日々。 言葉の刃は鋭くこの身を引き裂く。 身体に残る傷はこの身が焼かれるまで疼いていく。 「暴れる力」なんて言葉は浅はかだ。途方もない苦痛を浴びたその行為に見合う言葉なんてあるのか。 死さえ纏う絶望の淵に追いやられ、気付いた時には刺さる箇所がないほど、心には無数の矢が刺さっていた。 このままでは死んでしまう───。 心の警鐘を感じた。 最後の力を振り絞り、私は悪魔に挑んだ。 悪魔は黒呪術を仕掛けてきた。何度も何度も。 それでも私は屈しなかった。蟻地獄から覗く一筋の光を信じて。 その闘いは途方もない痛みを伴った。足には鎖が食い込み血を滲ませる。激闘の末、鎖はいつの間にか千切れていた。 遂に悪魔に勝ったのだ。 足を引きずりながら蟻地獄から這い上がり、まばゆい光が私を照らし出す。その光があまりにも暖かくて眩しくて世界がこんなにも明るかったのかと希望が胸を満たしていく。彩光に手を伸ばしながらゆっくりと踏み出していく。 光の当たる景色を見据えながら踏み出していたのに───。 ───なぜ?神はまた突き落す? 踏み出していた途中に葬り去ったはずの悪魔に出くわした。 私は身を縮めずに怯えなかった。すると悪魔は私を横目に見たが、黒呪術を唱えることもなく通り過ぎた。 私の世界は変わったのだ。自分で変えたのだ。自信を唱えた。 その後に吐き気が込み上げる。 私はまだ深い闇から完全に抜け出してはいないことを知る。その闇が取り払われる日がいつになるのか神のみぞ知る。 けれど決して屈しない。 今もなお足掻きながら、光が射す方へ歩いていく。ただ、ただ───。
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