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そのせいでアタシは今、彼らに捕まって『今すぐ迷惑料を支払うか、もしくは臓器売買のドナーになるか?』の二択を迫られているの!」
どうやら、沙樹の横ではマフィアが拳銃を突きつけているようだ。
だがしかし。
「ふーん? そうかい。ま、お前もまだ若いんだ。きっと『いい値』で売れるんじゃねぇのか? 胃腸だろうが、心臓だろうがよ」
蛇道は素っ気なく返す。
「お願い!助けてよ! 他に頼れる人が居ないの! 『ただで金を出せ』とは言わないわ!『融資』よ、『融資』して! 1億円を融資して欲しいの!」
泣き叫ぶ声から察するに、『向こう側』は殺伐とした雰囲気なのだろう。
「『融資』か‥‥なるほど、ビジネスってワケだな? なら話は別だ。オレは普段、そういうツマらん『事業計画』に出資はしないんだが‥‥昔、オレとツルんでたよしみだ。特別に『融資』するぜ‥‥」
蛇道がタブレット端末を取り出す。
そして「昔の銀行口座が残っているな‥‥」と、独り言をいいながら操作をする。
「オーケーだ。今、ケイマン諸島にあるテメーの秘密口座に『1億円』‥‥確かに振り込んだぜ‥‥」
「あ、ありがとう! 蛇道、お陰で助かったわ!」
電話の向こうで沙樹が泣いている。
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